やさしい税務会計ニュース
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文書作成日:2018/08/28
国民年金後納制度と社会保険料控除

[相談]

 私は自営業者です。
 このたび、過去3年間にわたって未納となっていた国民年金保険料を、今年8月に「後納」により一括納付することにしました。
 この納付した国民年金保険料は、所得税法上、どの年分の社会保険料控除として所得から控除できるのでしょうか。


[回答]

 ご相談の場合、今年8月に納付する国民年金保険料は、今年の社会保険料控除の対象となりますので、今年の所得から控除することとなります。


[解説]

1.国民年金の後納制度とは

 国民年金保険料が未払いとなっている場合、その保険料を過去に遡って支払うことができるのは、本来は2年前までの保険料とされています。それより過去の分に関しては、時効となり、原則的には遡って納付することはできません。
 しかし近年、国民年金の納付率の低さによる無年金者の増加などが社会問題化したことが発端となって、特例法により過去2年分より前の国民年金保険料を納付できるように設けられた制度が「後納制度」です。
 この後納制度を利用できるのは、次のような方です。

  1. @20歳以上60歳未満の方で、過去5年以内に納め忘れの期間(納付・免除以外)や未加入期間がある方
  2. A60歳以上65歳未満の方で、上記@の期間のほか任意加入中に納め忘れの期間がある方
  3. B65歳以上の方で、老齢年金の受給資格がなく任意加入中の方など


2.「追納」と「後納」の違い

 国民年金には、1.で述べた後納制度のほかにも「追納」という制度があります。
 この「追納」とは、前年の所得が一定額以下の方などが国民年金法の定める手続きを行った上で国民年金保険料の「免除」や「猶予」を受けていた期間の分を、後から納付することをいいます。この追納の場合は10年間まで遡って支払うことができます。
 これに対し「後納」とは、上記の免除や猶予の適用を受けていない方が、国民年金保険料を納付していない場合(未納の場合)に、未納となっている期間分の国民年金保険料を後から納付することをいいます。


3.後納制度利用のための手続き

 後納制度を利用するためには、最寄りの年金事務所に「国民年金後納保険料納付申込書」を提出することが必要です。
 ただし、この制度は平成30年9月30日で終了します。
 さらに、平成30年9月30日は日曜日のため、平成30年9月28日(金曜日)までに年金事務所で手続きを行うことが必要です。


4.後納した国民年金保険料の所得税法上の取扱い

 所得税法上、納税者が自分や生計を一にする配偶者その他の親族の負担すべき社会保険料(国民年金保険料など)を支払った場合には、その支払った社会保険料をその年分の所得から控除することができます。これを「社会保険料控除」といいます。
 社会保険料として控除できる金額は、その年に実際に支払った金額です。
 このため、本年中に支払った国民年金保険料であれば、それが過去の年分のものであっても本年分の社会保険料控除の対象になります。
 この社会保険料控除については、自営業者の方の場合は、所得税の確定申告書に、その保険料の支払を証する書類(控除証明書など)を、確定申告書に添付するか、確定申告書を提出する際に提示する必要があります。


 後納制度を利用することで、年金額が増えたり、納付した期間が不足して年金を受給できなかった方が年金受給資格を得られたりする場合があります。また、4.で述べたように、納付した国民年金保険料は、その年分の所得から控除することもできます。
 後納制度を利用できる期間は残りわずかですので、未納となっている期間がある方は、後納制度の利用を検討してみてはいかがでしょうか。


[根拠法令等]
 所法74、120、国民年金法87、88、90、91、94、102、国民年金及び企業年金等による高齢期における所得の確保を支援するための国民年金法等の一部を改正する法律附則2など


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